BACK ジョージアンズドアー (パコット通り)・全文NEXT  ホテル&レストラン       

夕暮れのセント・スチ−ブンス・グリ−ン公園から、パコット通りに向かった。周辺には「ドア−の綺麗」なビル街がある。地図を広げ「目的地」を探していたら、勤め帰りの中年サラリ−マン風の男性が「どこを探しているのですか」と声を掛けてくれた。目的地は見当が着いていたが、彼の親切さに甘えてペムブロ−ク通りへの道を尋ねた。彼は前方の交差点を指し示しながら、「ジョ−ジアンズ・ドア−ですね、あそこを右に曲がった所です。僕は毎朝そこを通って会社に行くんです」と教えてくれた。目の前のシェルボーン・ホテルの玄関の照明が日暮れとともに輝きを増してきた。この周辺は官公庁や高級ホテルがあり「身なりの良い人」が多い。パコット通りを右に折れペムブロ−ク通りに入った。通りの両側に4〜5階建てのビルが一直線に静かにたたずんでいる。車道に2台の車が駐車している。車が一台ゆっくりと走って来た。見渡す限り動いている物はその車と僕以外には何もない。首都ダブリンこの国は人がいるのだろうか。工業の盛んでない人口の少ない国だとは僅かに知っていた。これほど「ひっそり」しているとは思わなかった。でも、わびしさはない。左側の歩道をレソン通りに向かった。夕刻6時過ぎの通りは街灯の明かりが目立ち始めた。電柱はなく替わりにクラシックな「ガス灯」が建っている。一直線に古い威厳のある5階建のビルが並んでいる。灯りのともっている部屋は少ない。ジョ−ジアンズ・ドア−は1階入り口のドアーのことである。ビルは「タウンハウス」のようで、大きいビルならドアーが10個〜15個ある。そのビルが5階建なら、1階〜5階まで全てを10軒〜15軒に「分割」されているのだろう。5軒(5個)ほどの小さなビルもある。ドア−の真ん中に郵便受け、上部に鉄製のノッカ−、横に回転式のノブがついている。色はそのオーナーの好みによって赤、紫、緑、などさまざまで、オーナメント付きもある。色も、青はコバルトブル−から水色、緑は新緑から椿の葉のような濃い緑まであり単なる「原色」のものは少ない。空腹とギネスが僕を呼んでいる。